top of page

- Black Nightmare -

黒ノ夜

 

く年、たる年

物語
 


 

歳神様に供物を捧げる
新しき壱年、福徳円満を祷る

 

毎年毎年歳神様は供物を食らう
一つの犠牲で我らの幸せが叶うのならば
それはとてもとてもありがたいこと

 

我らは喜んで供物を用意し、
新しき壱年を祝おう

 

 

 

 

12月31日。

ぼくは両親に連れられ、東京から田舎のおばあちゃん家に里帰りしていた。
この日、地元にある神社では新年を迎えることを祝うお祭りをしている。



そのお祭りに両親が連れて行ってくれた。
都会では見ない色とりどりの明かりやお祭りのお菓子などに目を輝かせる。
また違う目新しいものに惹かれ、親の手をするりとほどき駆け寄った。

 

 


それをじっくりと観察した後、後ろを振り返ると今さっきまでいた両親が消えていた。
辺りを探しても見つからない。
ぼくはここで迷子になってしまったことに気付いた。



泣きながらも両親を探していたら知らぬ道に出ていた。
薄暗いが、ぼんやりと赤い鳥居が見える。その先には永遠に続いているような長い階段。
その赤い鳥居が『こっちにおいで』と誘っているように思えた。

ぼくは誘われるように赤い鳥居をくぐり、階段をあがった。


 

2015/12/26 黒ノ夜プレサイトオープン

Please reload

bottom of page