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堕落 2

[目次]

1ページ目 椰代×明枝 (ほぼR-18注意)
1ページ目 椰代+柳瀬×桐哉 (ほぼR-18注意)
2ページ目 サスペンス部分 前編 ちょっと椰代×明枝
2ページ目 サスペンス部分 後編 明枝→桐哉 (一部R-18注意)
2ページ目 蛇足if

 

 

 


[サスペンス部分前半]

 

 

明枝「…」

 

椰代「明枝、戻ったよ」

 

明枝「うん…椰代の事、待ってた」

 

椰代「…明枝?」

 

 

明枝のその声と表情はあまりにも妖艶で、椰代が喉を鳴らす

 

明枝「兄さんのところ行ってたんだよね?
寂しかった…戻ってきてくれて嬉しいよ」

 

椰代「…それは、意外だな」

 

椰代は入ったときに明枝が何か考え事をしている表情を見て
おそらく桐哉の事を案じているのだろうと思っていた、
しかし、明枝のその言葉を聞き、また彼は自分が勝利と優越を得た立場であると確信した

 

 

明枝「変だよね…椰代は俺にひどい事してるのに…でも…んっ!」

 

 

しばらく深い口づけをし、明枝もそれに応じる

 

椰代「もう、明枝の心と身体は俺だけのものだ、これからもっと
お互いしか見えなくなるくらいの事…しよう?」

 

明枝「あ…」

 

 

椰代「今度は明枝が上に乗ってみて、もっと奥まで感じられるようになるよ」

椰代が明枝の手を引っ張る、椰代のその背後で明枝が薄く笑みを浮かべた…

 

 

――――――――――――――――――――――


桐哉「ん…」

 

 

見張りもいない部屋の冷たい床の上で桐哉が目を覚ます

 

桐哉(俺は…気を失っていたのか、くそっ…あいつら…)

 

コツコツと足跡が聞こえる

 

桐哉(また、誰か来たのか)

 

 

鉄製の扉が開けられる

 

桐哉「…明枝!?」

 

明枝「兄さん!」

 

桐哉「どうやってここに!?」

 

明枝「話は後で、今鎖を外すから」

 

 

――――――――――――――――――――――

 


桐哉は足の健を切られてはいるが、地面を蹴る事が出来ないだけで歩けないわけではない、
明枝と肩を組み、部屋から出る

 

桐哉「…見張りは…いない、のか?すまない明枝、重くないか?」

 

明枝「大丈夫、兄さんこそ…フラフラしてる…」

 

 

気を失っていたとはいえさっきの疲労と薬の反動がだいぶ残っているのか、
身体だけではなく桐哉の目の前は少しぼやけていた

 

桐哉「へ、平気だ…椰代…あいつは?」

 

明枝「今は眠っているよ、椰代は舞い上がって傍から見ても隙だらけだった…
だから、うまく盛る事ができた」

 

明枝「これでも椰代と同じ医学部志望だよ、
俺だって椰代が関わる薬くらい利用しようと思えばできる」

 

桐哉「そ…そうか」

 

明枝「もし今回が失敗してもいつか目を盗んで抜け出して、
兄さんを助けに行く機会を見つけるつもりだったんだ」

 

桐哉「はは、逞しいな…」

 

 

桐哉が明枝の様子を見て安堵しながらそう軽口を叩き、
ふと明枝と椰代の情事の映像を思い出す

 

桐哉「明枝、薬打たれたんだろ?身体は平気か?」

 

明枝「最初はちょっとしんどかったけど、あの後だいぶ休んだから」

 

桐哉「よかった…それにしてもあいつら…俺にもあんな事…」

 

明枝「あんな事って?」

 

桐哉「…え?」

 

桐哉(明枝は知らない?俺の方の映像をまだ見てないって事か…いや、でも…
そういえば椰代は言ってた…俺にあんな事をするのは明枝に頼まれたからだと…)

 

明枝「…?兄さん?」

 

桐哉(…やはり嘘か)

 

桐哉「なんでもない、行こう、ここを出たら警察に事情を全て話す、
…にしても、改めて見回すと広いな…気を付けないと迷ってしまいそうだ…」

 

コツ…コツ…

 

しばらく歩くと誰かが近づいてくる足音が聞こえる

 

 

明枝「誰か来た…」

 

桐哉「くそ…もうすぐ脱出できそうなのに…」

 

明枝「兄さん、こっち」

 

小声で話し、近くの部屋に隠れ、鍵をかける

 


ガチャッ―――

 

明枝「…」

 

桐哉「…」

 


ガチャガチャッ!

 

桐哉(…うっ!?)

 


誰かが扉を開こうとしている、しかし鍵がかかっているとわかって諦めたのか、
足音が向こうへ通り過ぎていった…

 


桐哉「…行ったみたいだな…痛っ…」

 

明枝「大丈夫?身体痛い?兄さん」

 

 

明枝が桐哉を座らせ、身体を労わる

 

桐哉「あ、ああ…大丈夫…」

 

 

コツ…コツ…

カチャッ、キイィィ…

 

 

桐哉「―――――!!?」

明枝「!」


しかし鍵のかかっていたはずのその扉は開いた…さっきの人物が戻って合鍵を使ったらしい

 

 

 

 


[サスペンス部分後半]

 

 


桐哉(なっ…、あの時の見張り…)

 

柳瀬「見つけたよ…明枝君とそのお兄さん」

 

 

入ってきた柳瀬が再び内側から鍵をかける

 

桐哉(ま、まずい…こんな状態じゃ…)

 

柳瀬「うん、だいたい状況は解ってる、
明枝君の方にこれ、見せようと思ってたんだ」

 

桐哉(「解ってる」?こいつ…俺達がここに入るの知ってて…)

 

そう言うと柳瀬は、二人が見える位置にあるテレビにDVDで映像を映す

 

 

映像の椰代「これから撮影するお前の情けない姿を明枝に見てもらおうと思ってね、
まあ余興みたいなものだ」

 

 

桐哉「あ…――――」

 

 

一瞬でそれが何かを理解し、桐哉が顔を青ざめ冷汗を流して固まった…

 

 

明枝「これ…」

 

桐哉「だ、駄目だ明枝!見るな!見ないでくれ!うぐっ…!」

 

明枝の目を覆おうとするが慌てたせいでうまく立てず、身体のバランスを崩す

 

柳瀬「黙ってなよ」

 

 

柳瀬が刃物をちらつかせる、桐哉が状況を打開しようにも
今の状況が不利なせいで下手な動きをできずにいた

 

明枝「…」

 

桐哉が明枝に秘めている想いもあられもない声も痴態も全てが明枝の目に映る、見られる

 

桐哉「…くっ!明枝…その…これは…」

 

 


明枝「ふっ…ふふ…」


桐哉「えっ…」


明枝「ふふふ…あははははは!兄さん、ああ、兄さん!すごくいい!
俺が椰代にして貰った事を兄さんが感じてる!」

 

柳瀬「そんなにおかしかった?存分に笑っていいよ、僕以外だれも来ないから」

 

明枝「ははっ…あははははは!」

 

 

明枝の高らかに笑う声が部屋に響き渡った

 

明枝「さっき言った”あんな事”って…そうだよ、
俺が頼んだ事…、それに、こっちに出口はない」

 

桐哉「…なんで…なんでだ!どうして…!」

 

 

混乱する桐哉に柳瀬が答える

 

柳瀬「明枝君が自分のされた事、大好きなお兄さんと共有したかったんだって、
僕はその驚愕した顔を見たかったから通り過ぎた芝居」

 

明枝「それと…冷たい床よりこの部屋の方が楽しめるから」

 

桐哉「楽しめるって…何を…うあっ!」

 

明枝が桐哉を座っていたベッドの上に押し倒す

 

明枝「映像で言ってたね、兄さんが俺に恋愛感情があるって…俺も兄さんの事…好きだよ」

 

桐哉「明枝…?っあ…!」

 

 

明枝の方から触れてきて、身体が跳ねる、
こんな状況だというのにそれでも桐哉の身体は意識してしまう
薬は無くとも経験した行為の条件反射でその気になっていくのは容易かった

 

明枝「ねえ、兄さん…」

 

明枝の顔が目の前まで近づき、桐哉の鼓動が早くなる

 

明枝「俺、おかしくなっちゃったよ…また椰代にされた事考えて身体が求めてる…
あんな気持ちいい事されたら、忘れられないよ…、兄さんだってそうでしょ?」

 

桐哉「そんな…お、おい、待てって…んっ…!」

 

 

明枝が桐哉の口を塞いで黙らせる、早々に整えられていたようで
やがてその口を離すと明枝が桐哉の上に乗り、身体を繋げた

 

桐哉「――――あ、ぁ…!!」

 

明枝「うっ…あ…はは…、椰代の言ってた事、ほんとだ…、な、中に…兄さんのっ…感じる」

 

桐哉「はっ…はっ…あ、ぁ…」

 

明枝「騙したりして、…ごめんね、でも…あぁっ、すっごく気持ちいいよ!」

 

桐哉(あぁ…意識が…目の前…ぼやけて…)

 

明枝「でも、さ…助けに行くって言った事は…本当、だよ…」

 

その部屋で起こった事が動悸の速さと疲労を悪化させたのもあってか
桐哉が再び気を失うのに時間はかからなかった

 

 

 

――――――――――――――――――――――


寝たきりの桐哉をそのままにその後の処理を終え、明枝は服を直しながら呟く

 

明枝「ごめん、兄さん…、椰代が部屋に戻ってきた時…
あんな話聞かなければ脱出していたんだろうけど…」

 

ずっと前から椰代にとって明枝は救いだった、
その時の友情が本物だという証明が欲しかった、
明枝の全てを手に入れたくなった、それぐらい明枝の事が好きだ、だからやった
それが椰代から聞いた話…

 

 

明枝(こんな事になるまで俺は、
椰代の心が歪む理由も経緯も理解してあげられなかったんだ…)

 

 

椰代のやった事は許される事では無い…だが、

 

 

明枝(親友なんだ…それでも、失いたくないんだ…)

 

明枝「ここを出たって…もう戻れないよ…、ずっと…一緒にいよう…」

 

しばらくして明枝だけ部屋から出てきた

 

 

柳瀬「終わった?」

 

いつの間にか扉の外で待っていた柳瀬が声をかける

 

柳瀬「あ~、愛憎劇に翻弄される時の顔、みんな素敵だったよ、
それにしても君もよくやるよ…よくこの関係を受け入れようと思えたね、
もっとまともな子だと思ってた」

 

明枝「俺は…前から心のどこかで気づいてたのかもしれない、兄さんや椰代の気持ち…、
こんな事してしまえるのは…俺も同じだったからなんだと思う」

 

柳瀬「でもこれって二股でしょ?椰代君は嫉妬に狂うかもしれないよ?
けど…あの椰代君にあっさり色々条件を呑ませるくらいだし
そんな強かなら君が彼から主導権を奪い取る日も遠くないかもしれないね」

 

明枝「その時がきたら兄さんの足だって治す、
囚われるのは俺じゃない、俺に依存して逆らえなくなる椰代の方になる」

 

柳瀬「そっかあ、じゃあ、もう僕は誰かを殺す仕事をする必要もなくなるし
用済みになっちゃったりして…なんてね、あははっ」

 

明枝「時期そうなるよ」

 

柳瀬「……」

 

 

 

 


柳瀬「…ふざけてるのか?」

 

明枝「…」

 

柳瀬「あのさあ…それじゃ僕がつまらないだろ?
お兄さんを騙す打ち合わせをする時、少し話したよね?
あの別荘へ君の友達やお兄さんを招き入れてなぶり殺そうとしたのは
僕が椰代君とグルなだけじゃなくてそういう趣味だからだって」

 

明枝「そうだったね…」

 

柳瀬「ていうか思ったんだけど…このまま君の言う立場が実現されると
僕みたいな殺人鬼はその権限で消される未来もありえるんじゃないかって…」

 

明枝「…そうだと言ったらどうする?」

 

柳瀬「はは…やりかねない言い方だね、可能性の話だったのに…
ほっといたら本当に僕は用済みにされそうだ…」

 

 

 

 

 

柳瀬「そうなる前にここで死ね」

 


気が付くとその首には注射機が打ち込まれていた
それは柳瀬が刃物を明枝めがけて突き出そうとするよりもずっと早かった

 

 

柳瀬「うっ…ぐ…、え?…そ、それって…やばいやつじゃ……はは、やられた…よ…」

 

その場で倒れて柳瀬は動かなくなった

 

明枝「ああ…危なかった…これ、椰代にどう説明しようかな…」

 

目の前の柳瀬を見つめて呟きながら、これからの事を考えていた…

 

 

 

椰代の家に来た日に楽しかったあの頃にはもう戻れないと解っていた…

そしてもう…自分たちは完全に堕ちてしまった…

 

 

明枝「…」

 

…でも、それでもいい…


一緒にいてくれる彼らを自分が手離さなければ、それで…――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ここまで読んでくれてありがとうございます

蛇足if↓

明枝ルート→この話 後に本当に明枝が椰代の依存心を逆手に取る
      桐哉はこの関係に流されて愛人みたいになる、柳瀬の生死は不明
桐哉ルート→部屋に入った柳瀬に馬鹿力で体当たり当てて気絶させる
       明枝を引っ張って底力で出口見つけて脱出・警察沙汰
柳瀬ルート→明枝や素性を知った奴を殺すのに成功して消える、もしくは
      3人のもつれを高みの見物して時々混ざる事にする、椰代受もあり
椰代ルート→修羅場で明枝を勝ち取る、桐哉はそのうち殺す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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