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繰り返す悪夢 2

目次

1ページ目 現象の始まり
1ページ目 因縁の決着
2ページ目 決意
2ページ目 その後と蛇足

 

 

 

 

 

ゴゴゴゴゴと地鳴りが響き、巨大な何者かが現れた

 

 

伊吹「うわあああっ!?」

 

椰代「な、何事!?」

 

桐哉「なんだ…あいつは…?」

 

 

砂煙が舞い続け、よく姿が見えないが、その影は女神のようだった

 

 

椰代(まさか…、バレンタインデーの女神!?)

 

明枝「あれは…エンディングリストの女神!」

 

椰代「」

 

 


女神「そこの少年、明枝だったな」

 

明枝「…」

 

女神「今お前がこの場にいる人間の中で本当に裁くべき者を裁くがいい…
それがあの時に与えてやった力の最後の使い道、そして代償だ」

 

桐哉「本当に裁くべき者?」

 

椰代(…な、何!?まさか…)

 

菜摘「そうか…記憶がぼやけてるけど、彼女があの時、空に現れた…」

 

伊吹「あの女神が明枝を強くしたのか…」

 

明枝「…」

 

 

明枝「ああ、そうだった…俺はあの時、解ったんだ…本当に戦うべき敵が…!」

 

 

明枝が椰代の方へ歩み寄る

 

椰代「明枝…そうか…そうだよね、信じられない話だけど…
何度もめぐってきたのなら真実だって見つけて知ってしまっているのだろうね」

 

明枝「うん…」

 

椰代(はは…こんな事態になるまで打ち破られるのは
明枝の思いがそれだけ強かったって事かな…)

 

明枝「…」

 

椰代(けど、俺はそれだけ明枝の事を…)

 

椰代「俺は何も抵抗しないよ、好きにするといい…」

 

椰代がそう言うと諦めと悲しみの混じった表情に変わる

 

 


明枝「…椰代のやった事は許していけないかもしれない…! 
けど、これ以上誰かを失う事は選ばない!」

 

その明枝の言葉は椰代の想定外だった

 

 

明枝(そうだよ、信じられなかったし、許せなかった…、
なのに、病院で椰代のあの姿見て…解らなくなった…)

 

明枝(それでも、今はただ…)

 

 

女神の方に向き直り、明枝が皆の前に立ちはだかって叫ぶ

 

明枝「俺は何よりも先に自分の無力さと戦って
一番に望む未来を切り開くって決めた!
もう、隠れて一人で泣いてばかりはいられないんだ!!」

 

 

椰代「…」

 

桐哉「明枝…」

 

明枝「俺はもう…それだけ皆といるこの時が大事なんだ!」

 

 

その明枝の姿と言葉に見えない何かの矢が椰代と伊吹と桐哉の3人の胸を貫通した

 

菜摘(明枝ちゃん、素敵!)

 

そして菜摘が後ろで親指を立てたb

 


女神(愚かな、今回の事件の起こしたその男達だけではない、
ここに集まっている人間は残虐性・狂気的な依存・束縛欲・独占欲という
醜い欲望を心の隅に抱えている、お前が選ぶ結末の先には
茨の道しか残されていないかもしれないぞ)

 

女神「それでもあがくと言うのならば…それだけの決意を証明してみるがいい!!」

 

 

エンディングリストの女神が半ばヤケクソで襲ってきた!∇

 

 


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黄色髪「なんだこの流れ」

 

その友人「完全にRPGだな」
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桐哉「明枝…事情は飲み込みづらいが、
お前も成長しているんだなって事はよく解ったよ…
それでも俺は、お前にあまり無茶して欲しくないんだ」

 

 

そう言って桐哉がさらっとリテイク前のスレッジハンマーを構えた

 

 

桐哉「だから、全部抱え込まないでもっと頼ってくれ、
今度こそ俺は兄としてお前を守るって決めているんだ」

 

明枝「兄さん…」

 

 

伊吹(ハンマーでかすぎて明枝の顔が見えない…)

 

 

そして椰代もどこから取り出したのか注射器を数本指で構える

 

明枝「椰代…」

 

椰代「ありがとう明枝…こんな事言える立場じゃないけど…
俺は信じていきたい…一緒にあの頃に戻れるって事を、
そしてこの戦いが終わったら…いや、この話は後にするよ」

 

 

皆が並び、一斉に跳びかかる

 

 

桐哉「うおおおっ!!父さん!母さん!俺に明枝達を守る力を…!!」

 

そう言って一撃必殺へと振りかぶる、
桐哉の後ろに誰かの二人のオーラが見えた気がした…


よく見るとさっきのマネキンだった

 

 

明枝「ああああっ!この戦いに勝ったら…みんなでネズミ―ランド行く!」

 

[地球を一つ救ったようなエンディングを見逃すな!]by菜摘

 

 


???「…ついていけない」

 

指切りのジャックが逃げようとするとその肩に手が乗せられた、
その男は紙袋を被っていた

 

男 「マックでも行って、気晴らししようぜ」

 

???「誰だよ」

 

男「リテイク前の追跡者だ」

 

 

その二人は壊れた玄関をくぐり、消えていった…

 

 

後ろで殺されたはずの草史の身体が起き上がる、
暖かい希望の光に包まれ、奇跡的に息を吹き返しちゃったりしたのだ

 

でも額にはマジックで「肉」と書かれていた

 

 

本館エントランスに置いてある楽器でマネキンや鎧が
エンディングテーマを奏で始め
大きな敵が崩れていく音と共に幕を閉じる

 

そして明枝は長い長い悪夢から目を覚ました…

 

 

 

 


……

1年後

 


菜摘「…それで、その後どう?明枝ちゃん」

 

電話越しに菜摘の声が聞こえる

 

 

明枝「どうって…うーん、なんとなくだけど、
皆との関係は変わっていってるような気がする…
伊吹は会って話す度になんか口説かれてるみたいで照れるし
兄さんも会う度スキンシップが激しくなった、
あと…視線も熱い気がする…この間だって…」

 

菜摘「わあお、それはそれは大胆な…」

 

明枝「あと菜摘もだよね!なんかこの話楽しんでない?
言ってるこっちは恥ずかしいんだけど!」

 

菜摘「え~、そんな事…というか明枝ちゃんはどういう気持ちなの?」

 

明枝「別に、その…嫌じゃない…よ///」

 

菜摘「そっかあ♪…椰代君の事は?」

 

明枝「椰代も似たような感じ…だけど、
もの思わし気な表情が多くなった気がする…
複雑で、少し悲しそうで…だから、思わず言ったんだけど」

 

 

 

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明枝「椰代…きっと大丈夫」

 

椰代「明枝…、ああ、そうなんだよね…明枝は皆が生きていて、
一緒にいてくれるから幸せなんだよね…」

 

明枝「って言っといてなんだけど…何の話だろう、これ?」

 

椰代「え…?さあ…」
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菜摘「えー、なに?その会話」

 

明枝「ほら、もうこの話はいいだろ!
皆とこれから集まりあるんだからその準備をしないと」

 

菜摘「わかった!また後でね!」

 

 

電話を切った後、明枝はあの日の事を考えていた

 

明枝(もう一年か…思い出すなあ、去年皆と楽しく騒いだ事…)

 

 

結局あの夢と同じ事は起きなかった…そもそも椰代の別荘に行くことはなく、
明枝の方からネズミ―ランドに行く事を提案して
その日はとても平和な一日を皆と過ごす事ができた

 

 

明枝(今日はあの悪夢を見た日でもあるんだっけ…
怖くて、すごく疲れて、普通じゃ信じられない事ばかり起きて…)

 

明枝「けど…おかげでなんだってやっていける気がするよ」

 

 

晴れた2月14日の空を窓から見上げ、呟いた

 

 


おしまい

 

 

 

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こんな話をここまで読んでくれてありがとうございます
悪夢の後は隠しエンディングのシーンに繋がってるイメージです

 

あぶれたシーン↓

 

エンディングリストの女神
「ふー、かったりー、やってらんねーよ
台本にないじゃねーかこんなご都合エンディング」

 

 

彼女は明枝達に敗れた後
赤ワインを目から溢れるくらい飲み明かした

 

 


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友人「今日はお前にやるものがあるんだ」

 

黄色髪「こ、これは…カボチャ型チョコ!?」

 

友人「ハッピーバレンタイン」

 

黄色髪「嫌がらせか!」

 

 

この後噛み砕いて美味しく頂いた
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