Room7 Birth


 

ぷちぷちぷち。

蟻の足を抜いていく。


 

ぶちぶちぶち。

蜻蛉の羽をもいでいく。

 

 

 

 

 

そのあとそれらがどうなったかはわからない。
でもきっと死んでいるだろうなぁ。
この世界で、周りと違うものは殺されていく。
容姿も性格も周りと違うのは全て。

 


俺はそんな違うものの一部だった。
他の奴は喋ったり、遊んだりするのが好きだというが
俺は一人で生き物を解体するのが好きだった。

 

もしもこの生き物が言葉を持ったら。
どんな言葉を発するだろう?

憤怒の言葉か、命乞いの言葉か。

それらを考えるだけでぞくぞくした。

 

 

 

 


ある日生き物を解体しているところを親に見られた。
いつも気難しい顔をしているが、この時は顔を真っ赤にしながら
すごい怒っていた。
その顔のまま近くに寄ってきて、俺のことを殴った。

 


「普通の子どもはそんなことはしない」

 


他にも色々言っていたが、その言葉が印象的だった。
どこの世界も周りと違うものは殺されていく、拒絶されていく、否定されていく 。

 

 

でも俺のこの衝動は止められない。
こっそり親の目を盗んでは、生き物を殺して。
そして親に見つかってしまったらまた殴られて。

 

それが繰り返し続いたある日。
俺は精神病棟で殺したいという欲求をなくす、催眠療法にかけられた。
その結果俺の殺したいという欲求は心の奥に閉じ込められた。

 

 

…そう、閉じ込めただけだ。

 

 

 

 

 

しばらくたった後、俺はまた陽の当たる地に立つことができた。
眩しい明かりを感じていると、足元に大きな蟻が歩いているのが見えた。
もう蟻が歩いているのを見ても何も感じない。
ただ、周りと普通に生きているだけ。


新しくできた友達に一緒に遊ぼうよ、と呼ばれる。
俺は友達の呼びかけに応じると、足元の蟻を踏み潰した。